言葉にし難い歴史をどう訴え、どう展示し、どう学習すべきか。David Flemingによれば、感情は博物館が社会や歴史の問題を扱うときの核心であり、すべての栄誉、怒り、喜び、羞恥及び悲しみは、どれも人の感情に立ち返らなければならないと指摘しています。即ち感性博物館(emotional museum)です。台湾は、多民族社会であり、異なった殖民および威権の時代を経てきており、不公平な傷跡は現在に至ってもその痛みが消えることはありません。未来に向けて、次世代に如何に過去を述べるか、引いては如何にして人権と正義を体現させていくか。これが正に全ての博物館の現在の挑戦と使命なのです。
戦争、屠殺、エスニシティ、ジェンダー、人権、正義等の議題について、ここでは博物館が展覧、映画、ドキュメンタリー、絵本、物語、移動展示会、芸術創作などによって伝えることにより、被害の歴史は系統的に保存され、慰安婦の記念活動は世界規模となり、先住民による抗争は展示や出版として伝えられ、不義遺跡も大切に保存されています。私たちは過去を反省すると同時に、共に移行期正義、自由と民主、尊重と調和のとれた未来へと向かって歩んでゆくのです。