モノクロ写真が訴える環境の傷痕

 国立自然科学博物館の企画展は、台湾沿海地域の小さな農村――台西村の農村生活と物語を、写真やテキストなど通じて伝え、人々が土地と環境保全について見つめ直すことを願う展示です。

 本展覧は30年近くにわたって撮影された百点以上の写真により、台西村と濁水渓を挟んで立つ第六ナフサプラントの398本の煙突や、夏場の南風に乗って台西村が汚染された大気に覆われる情景などを記録しています。作品の多くは、村人のポートレートや空き家になった家をテーマとしており、小さな村の日常と、台西村が抱える祖父母による子供の保育、過疎などの社会問題、田畑の泥質化、第六ナフサプラントによる大気汚染、漁獲減少などの健康や環境問題を、一枚一枚の写真を通して人々に反省と再認識を促します。